亡国のイージス 上 (講談社文庫)

亡国のイージス 上 (講談社文庫)

在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦"いそかぜ"は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った"楯"が、日本にもたらす恐怖とは。日本推理作家協会賞を含む三賞を受賞した長編海洋冒険小説の傑作。


前作 『Twelve Y.O.(以下「12」)』を踏まえての話である。前作読んでないと色々な用語・隠語がわからないので面白さ半減かと思われます。
物語は何かの予兆を感じさせながらも、自衛隊の演習の様子がのんびりと続いていく感じでいささか眠気と戦い気味だったのですが、ラスト100ページから物語が大きく動き。逆に眠ることを許されなくなった。冒頭からの各々の事件発生までの生き方を描き、前作『12』の終盤から付随して起こった事件に対する個々の機関や人物がどのような行動を取るかをきっちり描いてる重厚な下地が上手くいかされた構成になっています。ラスト100ページ、ミステリの様に世界が目まぐるしく動く様は圧巻だった。
ただ私的にはやっぱり福井さんの地の文が苦手ですね。しかも本書の文字が多さといったら…。比喩も引っかかるものが多かったです。しかし全身が緊張する力のある小説です。物語の壮大さを感じている今の私の気持ちに負けないクライマックスを下巻に期待します。

亡国のイージスぼうこくのイージス   読了日:2004年06月17日