依存 (幻冬舎文庫)

依存 (幻冬舎文庫)

七月の終わり、いつもの四人組タック、タカチ、ボアン先輩、ウサコら仲間七人は、大学の白井教授宅に招かれた。そこで初めて、みなは教授が最近、長年連れ添った妻と離婚したこと、そして新しい妻の存在を知る。年齢は四十歳前だという、まだ若々しく、妖しい魅力をたたえた女性。彼女を見て、タックは青ざめた。「あの人は、ぼくの実の母なんだ。そして、ぼくには彼女に殺された双子の兄がいたんだ」匠千暁、衝撃の告白で幕を明ける、容赦なき愛と欲望の犯罪。シリーズ最高傑作。


読み終わった後、魂が抜けた作品。2時間以上は放心してました、本当に。文字からの情報が重すぎて、消化に時間がかかりました。★5つではとても足りません。いつも通り各々の話から想像力推理を展開していくのですが、その推理が思わぬ結論を導き出します。今まで以上に、登場人物個人に焦点が当てられてる作品。今回の語り手のウサコはもちろん、匠千暁の生い立ちが徐々に判明していく構成はお見事。タックの過去、そこにあるのは愛か束縛か。なんと表現すれば、この面白さが適確に伝わるか分かりませんが、タックとタカチの二人だけのシーン(ウサコも隠れてますが)と昨夜の夜の出来事のやっぱり構成が見事。タックの独白により、器が完成し、そこへ昨夜の話を注ぐという構成。段々と注がれていく話が、器の輪郭を際立たせる…。うまく言えませんが、とにかく構成が見事という事だけはしっかり伝えておきたいです。自分の表現力の無さがもどかしい…
本書は間違いなく最高傑作! シリーズ作品の強さを存分に活かしています。特に前作『スコッチ・ゲーム』からの流れは見事の一言。タック・タカチの今までの経緯があって、その上で更に厚みを増す作品。なので、皆様に読んでもらいたいのですがその前に5作品も読まないといけないのがネックです…。そして早くこの直後の話を読みたい。今後の作品は時系列がバラバラなので、この話の前までか、数年経っている話からしか読めないのは歯がゆいですよ、読者としては。

依存いぞん   読了日:2001年01月21日