クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする。工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友とその冴えない友人、「戯言遣いいーちゃんは、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか? 第23回メフィスト賞受賞作。


今、若手作家の中で結構な人気を誇っている西尾維新さんデビュー作。現時点で、この戯言シリーズも5,6冊は出版されているのではないでしょうか。私にとってのこの本は 好きでも嫌いでもある作品。好きな所は、キャラクタがしっかりしている所、ミステリとして面白い所です。嫌いな所は、薀蓄ブックになりそうなぐらい情報が溢れている所。不必要な情報が多いと思う。どっかからコピーしてきた情報を読んでもね‥と思ってしまいました。このシリーズはキャラクタ小説であると思います。そういう目で見れば「萌え」なキャラクタ三昧だもの。いーちゃんの厭世的で一歩引いたところは私も、好きですし。キャラクタがいきてる、ということは小説として(ミステリではなく)面白いという事なのだろう。ライトノベル風の作風とイラストですが、ミステリとしてパズラーとして興味深いと思います。多分にイラストに惑わされていますね。イラストを本人が望んだのか、知りたいところです。
世は天才ブームだと思います。私の中には探偵=(少なからずの)天才という図式が出来上がってます。天才と呼ばれる人たちに私が惹かれるのは、自分が天才ではないから。そうした人達の言動を知りたいと思う、そうした欲求をこの本は少し叶えてくれます。具体的記述は、七愚人とかER3システムとか書かれているだけなんですが、会話として面白いです。なるほど、こんな受け答えを、考え方をするかもしれない、と。そう思わせてくれただけで、十分この作品に惑わされ、満足です。
そして、今更ながら作者の名前は上から読んでも下から読んでも「にしおいしん」なんですね。→nishioishin←って事ですね。天才には程遠く…。

クビキリサイクル   読了日:2002年05月11日